単勝1番人気が5.7倍、6番人気でも9.5倍とかなり拮抗したメンバーの中、雨によりどんどん状態が変わっていく馬場によって更に難易度が増していく難解なレースとなりました。
そんな中勝利を収めたのは9番人気のシャンパンカラーと2014年ヴィクトリアマイルでのヴィルシーナ以来9年ぶりの中央芝G1制覇となった内田博幸騎手でした。
若手騎手の活躍が目覚ましい競馬界ですが、このレースでは52歳の内田騎手が1着、54歳の武豊騎手が3着、55歳の横山典弘騎手が6着で入線しています。若手も凄いですがベテランも流石ですね。こうして様々な世代が活躍出来るのも競馬の素晴らしい部分だと思います。
1着 6枠11番 シャンパンカラー
出遅れました。が、この出遅れが勝利を呼びました。
出遅れた時点で内田騎手は腹を括ったようですね。無理にポジションを取りに行かず、後方待機を選択しました。この待機した場所も良かったです。
スタートから4コーナーまでは雨によって内の方がぐちゃぐちゃに荒れはじめており、荒れている場所と綺麗な場所が目視で確認できるような状態になっていました。
内田騎手はこの綺麗な馬場ギリギリを常に走り、直線を向いた時もより馬場の綺麗な外へ。この馬の末脚に全てを託すべく不利なく存分に走れるコースへスマートにエスコートしてくれました。あとはどこまでキレるか、どこまで届くかこの馬を信じて追い続けるだけでしたね。
その内田騎手の手綱に応えてしっかりと指示通りに走り、直線で素晴らしい脚を見せたシャンパンカラーも非常にスマートで力強い走りでした。
もちろん展開の恩恵を受けての勝利で、出遅れが怪我の功名になっていたのは確かです。ですがそうしたレースごとに変わる環境の変化や外的要因に応じて即座に対応出来るのも強い馬の要素のひとつでしょう。
この馬は新馬戦で差し、ベゴニア賞で逃げ、ニュージーランドTで先行、そして今回は追い込みで好走しています。しかも良馬場でも稍重でも。この自在性はとても強力な武器だと思います。
前走の回顧で「東京の方が向きそう」とお話していましたが実際これで東京マイルは3戦3勝となりました。ですがこの自在性や器用さを見るに東京以外でも安定して走れそうですね。軸に向いている馬だと思います。
今後は人気が出てしまうと思いますが、複勝やワイドや3連複をよく買う方は懇意にすべきでしょうね。
2着 2枠3番 ウンブライル
この馬の動き、最近どこかで見ましたよね。
皐月賞のソールオリエンスです。
横山武史騎手の中ではきっとレース前からこう乗るというプランが固まっていたのでしょう。
出負けもありましたがスタートと同時に後ろに下げ、すぐさま外の方へ移動する。この動きがソールオリエンスの時と瓜二つでした。
その後はシャンパンカラーと同じように馬場の良いギリギリを攻めて走っていました。シャンパンカラーより少し内にいたのは内枠であったことと少し距離不安があった分ではないかなと思います。
武史騎手はレース後「馬は最高でした。結果だけが残念です。」というコメントをしていました。ソールオリエンスと同じ戦法を取ったのはそれだけこの馬の末脚と状態の良さを信用していたのでしょう。
前走では展開の向かない中1頭だけ後ろから飛び込んできました。展開さえ向けばこれだけの脚が使えるのですね。後ろが届きそうなレースでは気にしておきましょう。
3着 5枠10番 オオバンブルマイ
この馬も上位2頭と同様に馬場の良いギリギリを通って直線で末脚を爆発させて馬券内に飛び込みました。
スタートして少しの間は馬に囲まれるようになってしまい、外に出す必要があったため道中で位置を少しだけ下げました。この時にシャンパンカラーの真後ろを陣取る形になっておりこの一連のロスがシャンパンカラーとの差に繋がったかなと思います。
武豊騎手は「一瞬勝ったかと思った」とのことでしたが本当にいい伸び脚でした。前走もウンブライルと同じく先行決着の中で大外から差し込んでくる競馬を見せていました。
前有利でも差して来れるだけの力があるんだから差し決着なら勝ち負けできる……。口で言うのは簡単ですが、レース前にそれを読んで買うのが難しいんですよね笑
4着 8枠18番 ダノンタッチダウン
4角を回った時はこの馬が勝つと思いました。
位置取りがあまりに良すぎて早めに前に立ち、後ろから来る馬の恰好の目標になってしまいました。
川田騎手は素晴らしい騎乗だったと思います。大外枠からできる最高の競馬でした。
それだけに展開と馬場が残念でなりません。
もう少しペースが落ち着いていれば……。もう少し雨が弱ければ……。そう思わずにはいられない内容でした。
良馬場だったら突き抜けたのはこの馬だったかもしれませんね。今回は運がこの馬の味方をしなかった。ただそれだけだと思います。
それでも4着には残しています。強い馬ですね。次走以降、良馬場で狙いたい一頭です。
5着 7枠15番 カルロヴェローチェ
馬場の悪いギリギリを走っていました。というのもこの馬のすぐ外をずっとダノンタッチダウンが走っていたからです。
川田騎手は自分は馬場の良いところを走りつつもずっとレーン騎手を内側に閉じ込めていたのです。流石はリーディングジョッキーですね。
閉じ込められていた分追い出しもワンテンポ遅れ、直線は狭いところを走らざるを得なくなりました。
レーン騎手は「最後の勝負所で馬場を気にした」とは言いつつもしっかり最後は伸びていますし4着ダノンタッチダウンとはハナ差の5着です。
この馬はシルバーステート産駒ですしやはりこういった馬場でも力を発揮できるようですね。
先着を許した馬とは位置取りや展開ひとつで逆転もあるように思えます。あとは重賞×良馬場の時にどうなるかですね。次走が良馬場ならばそこが資金石になるでしょう。人気が落ちてれば買ってみたいのですが。