次につなげる競馬レース回顧

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ヴィクトリアマイル 好走馬回顧 『白か黒か…答えは青!』

昨年の安田記念馬が復活のG1勝利を収めました。

白か黒か。白毛のソダシと黒鹿毛のスターズオンアースが人気を分け合っておりどちらが勝つのか注目を集めていましたが終わってみれば青鹿毛のソングラインが一着でゴール板を通過していました。

荒れるヴィクトリアマイルと言いつつも蓋を開けてみれば人気のG1馬3頭。競馬って簡単なのに難しいんですよね。いやほんと難しい。

 

1着 3枠6番 ソングライン

これで東京マイルは4-1-0-1となりました。この6レース中4レースがG1レースであり、1レースは3歳牝馬ながら古馬牡馬に完勝したG2富士ステークスです。このコースに対する適性が相当なものであることが窺えます。

唯一馬券外に敗れた昨年のヴィクトリアマイルは3コーナー付近でつまづき、ロスを受けつつも前がなかなか垂れてこない流れの中で後方から直線鋭く伸びてきていました。

こんな東京マイルの申し子が単勝7.6倍の4番人気です。終わってみればこんなに美味しい馬券だったのに!と思ってしまいますがレース前にはなんだか疑いたくなってしまうんですよね。馬券購入者はどこまでも天邪鬼です。

戸崎騎手の騎乗も良かったですね。

荒れてる場所を避けつつ距離ロスを抑えたルート取りで、直線では馬の力を信じてインを突いています。

前日からの雨が少しずつ乾いてきたと思いきやレースの数十分前からまた少し強めの雨が降るなど馬場読みが非常に難しかったと思いますが、馬の適性や能力との天秤にかけてベストの位置を走って来る事が出来ました。

とはいえ決して走りやすい脚元ではなかったでしょう。その中で上がり2位の脚を繰り出してスターズオンアースやソダシを捉えたのは見事と言うほかないですね。

次走は安田記念でしょうか。このコンディションのまま乗り込めるならまた良い勝負ができるとは思いますが東京マイルG1で3回も連対してるこの馬は他の馬からキッチリとマークされることが予想されます。

これまでより更に警戒される中でどれだけのパフォーマンスが出せるかが重要です。鞍上の手綱にかかるところも大きいので、そのあたりも予想する上で気にした方がいいかなと思います。

 

2着 8枠16番 ソダシ

昨年のこのレースの勝ち馬であり、1600mマイスターです。

ヴィクトリアマイルはリピーターがよく好走するレースであり、昨年の勝ち馬であり牡馬とのマイルG1でも好勝負を演じたこの馬は今回軸にはうってつけの存在だったでしょう。

しかし頭を悩ませたのは大外8枠16番という枠ですね。先行馬にとってこの外枠スタートは最初の位置取りを非常に難しくします。

ソダシは好スタート好ダッシュから一気に前に取り付き、2番手外目を追走しました。この位置を取れるかどうかで好走できるかが大きく左右されたと思います。

そんな心配をよそにすんなり前に行くあたり、流石はソダシ。流石はレーン騎手……と言いたいところですが今回ばかりは手放しに賞賛は出来ませんね。

というのも最初のスタートダッシュを切った直後、大外からインに切り込んだ時です。完全に馬群の前に出るよりほんの少しだけ切り込むタイミングが早かったようで、切り込む際にルージュスティリアに接触しそうになります。

その時の影響についてはナミュールの回顧の際にお話しますが、非常に危険で他馬に多大な影響を与えてしまっていました。ギリギリの中の勝負であるのは重々承知ではありますが、やはり馬や騎手が危険に晒されるのは見たくありませんからね。ともあれ全人馬無事でよかったです。

ソダシの話に戻りますが、この馬は早め先頭押し切りという王道競馬でここまでマイルG1を好走してきています。

強烈な末脚を持つ馬の多い現在のマイル界においてこれは凄い事だと思います。早めに抜け出すということはその馬たちの恰好の目標になってしまいますからね。

それでいてここまで安定して成績を残すというのは先行力にも瞬発力にも勝負根性にも優れているということなのでしょう。

白毛ということで見た目が先行して注目されがちですが、それを差し引いてもとても優秀なマイラーです。過剰人気になりやすく買いにくい馬ではありますが、安定度は信頼しても良いと思います。

今後はブリーダーズカップも視野に入るそうですね。白毛でこれだけの強さを持つ馬は世界にも居ません。海外でも沢山の人を驚かせることでしょう。ジャパニーズアイドルホースソダシの世界デビューが今から楽しみですね。

 

3着 1枠2番 スターズオンアース

またまたルメール騎手が好騎乗です。

まず心配されていたスタートですが、びっくりするくらいすんなり…というか普通に好スタートを切りました。こういうところが凄いですよね。当たり前のように出すんです。

そしてその好スタートを活かして先団に取り付くとここからラチ沿いに移動することなくそのまま直進、気持ち外へ突っ張るような形で馬群の内側を走っていました。

これで1番枠の不利は半分以上キャンセルされたようなものでした。このスタートと位置取りが無かったら差し届かず馬券外というのは全然あったと思います。

強い馬を当たり前に持ってくる。ルメール騎手の高い技術を見ましたね。

馬の方は明らかに適性外だったと思います。距離が短すぎますし、恐らく馬場もあまり得意なコンディションではなかったでしょう。その中で先行して最後脚を使ってソダシに迫れたのはこの馬のポテンシャルがどれだけ飛び抜けているのかを物語っています。

桜花賞は勝っていますが本質的に2000m以上、2400mくらいが良い馬だと思います。秋にジャパンカップで見てみたいですね。

 

4着 7枠13番 ディヴィーナ

良い脚で伸びてきましたね。先行した馬が多く残る中でただ一頭外を通って後方から追い込んできました。

こういうよくわからない馬場の時にデムーロ騎手の騎乗は光りますね。どこが走りやすくて伸びるのかをしっかりと把握しているイメージがありますし、最悪最後にキツくなってからも持ち前の腕っぷしで持たせる事が出来るのでしょう。

この馬はこれまでG1含む重賞で4戦連続二桁着順に沈んでいましたが、今回は勝ち馬のソングラインを上回る末脚を披露してあわやスターズオンアースにまで届きそうな勢いでした。

突然の好走でたまたまハマったという風に捉えられがちだとは思いますが、フロックと言うには馬場バイアスに逆らいすぎています。これはもしかしたら覚醒のサインと受け取ってもいいかもしれません。

父は古馬から一気に本格化したモーリスですし、何も不思議はありませんね。

 

5着 2枠3番 サウンドビバーチェ

ロータスランドがいい勢いで逃げたので番手に付けることになりましたが、少しすると外からソダシ、コーナーでは早めにスターズオンアースとルージュスティリアが並びかけてきました。

前の馬に有利な展開であったとはいえ決してマイペースに走れたわけではなく、直線入り口では後続馬に早めにかわされてしまいこのまま沈んでいくかと思いきや……。

ここからしっかり伸びるんです。並びかけられたナムラクレアを振り切り、一度は完全にかわされたルージュスティリアを差し返し、遥か前を走っていたロータスランドをも最後に差し切り見事掲示板入着を果たしました。

普通の先行馬なら4角で馬群に飲み込まれた時点でほぼ終わりだったと思うのですが、あそこから伸びたのは驚きましたね。もし悠々とこの馬に逃げさせていたら馬券内に食い込んで来たかもしれません。

ですが基本的にはG3で買うのがいいと思います。今回・前走と水を含んだ馬場で結果を出しましたが速い時計にも対応出来そうなのもいいですね。

逃げても控えても好走が見込めますので、前が残りそうな時は必ず抑えておきましょう。