次につなげる競馬レース回顧

これ以上負けないように。もっと良い思いをするために。何より競馬を楽しむために。

キーンランドC 回顧 『スプリンターとしての格』

夏競馬の回顧のたびにお久しぶりですと言っている気がしますがお久しぶりです。

今週はなんとか時間が取れましたので書いていきます。

 

キーンランドCですが札幌ではお昼からものすごい雨が降ってきたようで11Rが行われる頃には芝は重馬場まで悪化していました。

開催が進んだ札幌に雨が降ることで内ラチ沿いは相当に荒れ果ててしまったようで、常にほぼ全頭が大きく内を開けてのレースとなりました。

一般的に内が荒れてくると綺麗な外の馬場を通って伸びてくる差し馬が優勢になるというイメージがあると思いますが、目に見えて内が荒れている時は逃げ先行馬も外を走ります。

そのため結果的に差し馬はロス覚悟でその逃げ先行馬の更に外々を回して追い込んでくるor荒れ果てた内に突っ込むしか無くなり、結局逃げ先行馬がそのまま押し切るという展開になりがちです。

キーンランドCもやはり例に漏れず先行した馬が上位を多く占める形となりました。力の抜けた馬が一頭いましたが、それ以外は馬場や展開次第で逆転もあったのではないでしょうか。

 

1着 7枠14番 ナムラクレア

まさに横綱相撲といった感じでした。

前述の通り差し馬は大外を回らされるので結構厳しい戦いを強いられるはずなのですが……スタートから常に大きく外を回して追走、コーナーを回りながら大外を押し上げて行き直線では圧巻の上がり最速35.2秒……。

ちょっと力が違いすぎたかなというのが素直な印象です。終わってみるとこの馬が単勝2.4倍だったのはお得な気すらしてしまいますね。

この馬以外は序盤から終始前につけた馬が上位を独占しており、明らかにこの馬だけがトラックバイアスを無視して突き抜けたことが見て取れます。

浜中騎手は「馬場を考えれば外枠はむしろ良い。なるべく外の馬場がいいところを走らせようと思った」とのことでしたが多少のロスは問題なく差し切れるという自信の現れにも聞こえます。

そもそも前々走高松宮記念は不良馬場で行われており、勝ち馬と0.1秒差の2着になっている馬です。重馬場や外枠程度で怯むようなタマじゃなかったということですね。スプリンターとしての格が一枚も二枚も上手だったようです。

次走はスプリンターズSだと思います。去年は5着に敗れていますがスプリンターズSは3歳にはなかなか厳しいレースです。

4歳で経験を積み脂の乗った今のナムラクレアならば十分に勝ち負けできる存在だと思っています。脚質もその時その時で自在に変えられるのも強みで、安定感も持っています。

もし馬場が渋っても稍重以上は今回含めて2-1-0-0と優秀。勝ち濃厚かと言われるとわかりませんが、軸としてはかなり信頼できる馬でしょう。

 

2着 4枠8番 シナモンスティック

この馬が逃げましたが常に内を大きく開けて馬場の良いギリギリを常に選んで走っての好走です。

4枠8番という中枠がそのギリギリの芝まで一直線に目指せるちょうど良い塩梅の位置だったかもしれませんね。

鞍上の松岡騎手はおそらくそこを狙っていたのでしょう。スタートから促して一気にハナを奪い、そのままゴールまで一貫して芝の良いギリギリを走らせることが出来ていました。

シナモンスティックは近走では右回りの小回りコースでの好走が目立っており、前走は松岡騎手を背にオープン初戦を4着。操縦性やコーナリング性能の高さを持っていることは既に把握済みだったでしょう。スムーズに先行できる脚力もありますしそこを活かすための騎乗だったと思います。

今年の休養明けから明らかに成績が良化しています。今回も滞在競馬とはいえ中1週で+12kgでの出走となっており、成長期・充実期を感じさせます。オープン特別〜G3ならしばらく気にしてみるべき馬ではないでしょうか。先行有利のバイアスがあれば印をつけておくといいかもしれません。

 

3着 6枠12番 トウシンマカオ

良いスタートを切って先団待機からの外目を追走。ナムラクレアと同じようなルート取りでナムラクレアより前を走っていました。

かなり良い形に見えたのですが4角で加速して行きたい時にこの馬の外からナムラクレアがぴったりと併せて来たために伸び伸びと加速することが叶いませんでした。ここが痛かったです。

その後も馬場の良い外側に出して行きたかったと思うのですが、そこで後手を踏んでしまったがために思うように進路が取れず、気づけばシナモンスティックより内を走る羽目になってしまいました。

しかしその中でもしっかりと上がり2位の脚は繰り出しており、シュバルツカイザーを差し切り3着に食い込んでいます。スムーズに外を回れていたら2着はこの馬だったでしょう。流石にナムラクレアには届かないかなとは思います。

強い馬なのですがなかなか歯痒い結果が続いている馬です。どこかできっかけを掴みもう一皮剥けてほしいところですね。そうすればG1でも期待出来るようにまでなれる素質があると思っています。

 

3人気 8着 ゾンニッヒ

ナムラクレアと一緒に上がってくるかと思いましたがそうもいきませんでしたね。

芝で稍重以上ならばら3-0-0-0と完璧なのでもしかしたらとは思いましたが位置取りも少し後ろすぎた分前を捉えきれずという競馬になってしまいました。

今回はナムラクレア以外は前に行った馬が上位を占めていることから、最初の位置でこの馬にはノーチャンスだったかなと思います。展開次第では逆転の可能性は十分に感じます。

ただこの馬はマイルで勝ち上がって来た馬なのもあり少し1200mは忙しいのかもしれません。良馬場でスピードの出る1200mになったらもっと位置が悪くなって全然届かず……なんてことも頭に入れておくべきでしょう。