次につなげる競馬レース回顧

これ以上負けないように。もっと良い思いをするために。何より競馬を楽しむために。

天皇賞・春 好走馬回顧 『今年は楽しメール!』

ご無沙汰しております。

先週に「一週前の分も含めて回顧書きます、追いつきます」と言ったものの仕事のあまりの忙しさに風呂食事睡眠で手一杯になってしまっておりました。結果的に先週分すらこなせず…。

GWを利用して追いつきますのでどうかご容赦ください。

 

さて天皇賞の回顧ですが、1番人気であったタイトルホルダーと果敢にハナを取ったアフリカンゴールドが競争を中止するというハプニングがあり、更にしんがり入線となったトーセンカンビーナにも故障が発生という何とも心がザワザワするような事態となってしまいました。

タイトルホルダーは跛行、アフリカンゴールドは心房細動とのことですがトーセンカンビーナは左前浅屈腱不全断裂と発表されています。

なんともやりきれないような、心配が勝ってしまって少しモヤモヤするようなレース後となってしまいましたが3頭の無事と復帰する姿を願いたいと思います。

 

1着 1枠1番 ジャスティンパレス

長距離レースは騎手で買えとはよく言いますが今回一番鞍上の手腕が光ったのがこの馬だったのではないでしょうか。

1枠ということでスタート早々に窮屈な競馬を強いられてしまうことが気がかりでありましたが、流石はクリストフですね。確かに一周目は外に馬を置いて運んでいましたが二周目の1コーナーで様相が変わります。

ハナを叩いたアフリカンゴールドが心房細動を発症しズルズルとラチ沿いを下がってきたのです。

そのアフリカンゴールドをかわす際に後続の馬群は一度外に膨らむ必要がありました。ルメール騎手はこのときに外に膨れてから内に戻ることをせず、ディープボンドの後ろをマークすることを選択します。この決断が勝利の道筋でしたね。

結果的に人気馬のタイトルホルダーやアスクビクターモアなど先行した馬は全頭馬券外に敗れ、マークしたディープボンドが2着に好走したのです。

そもそもジャスティンパレスはこれまでもう少し前の位置で競馬をしてきた馬であり、今回は普段より一列後ろでの追走となっていました。更に前には単勝1人気のタイトルホルダーがいる状態です。

タイトルホルダーの他にも有力馬がズラリと揃ったこのレースのこの状況下において、ルメール騎手は冷静にディープボンドをマーク相手に選ぶのです。レース勘というか、勝利への嗅覚というか、そういった点においてルメール騎手は本当にすばらしいものを持っていると思います。

確かにディープボンドも有力馬ですし道中のペースが速かったというのも判断材料だとは思うのですが、それでもやはりこの判断は素晴らしいの一言です。

インタビューでは「ルメール楽しメール」と某アプリゲームCMのフレーズで会場を沸かせていましたが、ルメール騎手はこれで先週のマイラーズカップ・土曜日の青葉賞に続いて3日連続の重賞勝利となりました。これだけ勝てばそりゃ楽しメールですよね笑

ジャスティンパレスの方ですが、これは覚醒と見ていいと思います。ダービー以降体重を増やし続け、前走阪神大賞典で+16kgと大幅に増やした馬体が±0で出走してきてこのパフォーマンスです。前走の増加分が全て成長分であった証でしょう。

今後は2400m前後で使っていくようなことを三木オーナーがコメントしていました。今のジャスティンパレスは勢いも充実度も完全に波に乗っています。次走も期待したいですね。

 

2着 4枠7番 ディープボンド

またまた2着です。これで3年連続2着となりました。勿論立派な成績なのですが、陣営はここへ向けて全身全霊を込めて仕上げてきているでしょうしその悔しさは計り知れません。

和田竜二騎手とディープボンドもそれに応えて出来る全てのことを尽くしたように見えます。

直線に入って早めに抜け出した時は夢を見ましたね。ディープボンドが1着でゴール板を通過する夢を。

しかし直後をピッタリマークしてきた勝ち馬の切れ味に屈することとなり2着。後続の馬はしっかりと離しているだけに勝ったルメール騎手とジャスティンパレスを褒めるしかないでしょう。

敗れはしましたがディープボンドの底力・粘り強さには改めて驚きました。そして長距離の和田竜二騎手も頼りになりますね。特にディープボンドとのコンビは本当に手が合っていると思います。

長距離路線は馬と鞍上の相性はとても大事だと思います。このコンビは是非とも引退まで一緒に駆け抜けて欲しいですね。

次は宝塚記念でしょうか。今回を見る限りまだまだやれそうです。切れ味を求められない展開や馬場であればまた期待しましょう。

 

3着 8枠16番 シルヴァーソニック

去年のこのレースからなんと斤量が58kg増えた馬です。人が乗っていてもちゃんと強いですね。

オルフェーヴル産駒は現在の長距離戦線においてかなりの存在感を放っていますが遂に天皇賞・春でも結果が出ましたね。

今までの先行策とは打って変わって後方からの競馬となりましたがレーン騎手も馬も落ち着いており、道中しっかり折り合ってじわじわと脚を伸ばしてきました。

展開が向いたとはいえあの位置から馬券内に来るようなキレを持っているとは思っていなかったので驚きました。いつもとは違う形になってもしっかりと最後伸びて3着まで持ってくるあたりはレーン騎手の技術の高さが窺えます。

くどいようですが騎手の手腕がレース結果に非常に大きな影響を与えるのが長距離レースです。多少馬の力が足りないかもしれないと思っても上手い騎手は抑えておいた方がいいですね。

そういうレースとして割り切ればこのレースはとても簡単に予想ができるはずなのですが、きっとまた来年も同じように悩むんですよね。不思議な生き物です。馬券購入者というものは。

シルヴァーソニックは今年で7歳となりますが今が充実期です。長距離では惨敗する時まで常に買うくらいの気持ちでいいと思います。

 

4着 6枠12番 ブレークアップ

こんなに強いとは思っていなかった、というのが率直な感想でした。

この馬もいつもとは違う位置取りになり力を出しきれないかと思いましたがシルヴァーソニック同様にしっかり落ち着いて勝負所を待っていました。

最後の4角では人気を集めていたボルドグフーシュと並んで直線を向きましたが最後は併せ馬から競り落とし、インを走るマテンロウレオも差し切って4着まで食い込みました。

メンバー中4位の上がりを使っており、数字で見てもしっかりと中団から伸びていることがわかります。

前に行かなくてもG1でこれだけの走りが出来たことは収穫ですね。脚質に幅も出てきました。

今までは上手く行かなかったことで結果が出せるようになるということはそれだけ成長しており、それだけ充実しているという証でしょう。

今後さらに安定感が増してきそうですね。

 

5着 7枠14番 マテンロウレオ

またやりましたねノリさん。大阪杯に続いて素晴らしい騎乗でした。

この馬は相当操縦性に優れているのでしょう。前走は2000mでジャックドールのすぐ後ろを追走するテンのスピードを見せておきながら、その次走は3200mで8〜9番手にすんなり落ち着くことが出来るのです。これはとても難しいことだと思います。

勝負所では鞍上の合図に応えてコーナーの中でじわじわと馬群をかきわけて上がっていき直線を向く時には最内の4番手を走っていました。

もちろんそれを出来るように若いうちから横山典弘騎手がじっくりじっくり教え込んできた賜物なのは間違い無いですが、それに応えるのは紛う事なきマテンロウレオのポテンシャルの高さゆえなのです。

前回今回と完璧な立ち回りで敗れていますがまだ4歳ですからね。ここからもう一皮むければG1でも勝ち負けするところまで来れるかもしれません。

G2以下では常に馬券になれるくらいの力は持っていると思います。これだけ安定した操縦性と先行力があると軸として安心できますね。